第16章 仕草
「ククッお箸忘れるとかおっちょこちょいだなー。じゃあ香坂ちゃんが俺に食べさせてよ。」
「ええっ!?」
木葉くんの言葉に私は固まってしまった。
「早くー食べさせてよー。」
私の事をからかっているんだろうか。
木葉くんに急かされて私は竜田揚げを掴み
口元に持っていった。
「サンキュー!」
「!?」
私は手首を掴まれ私の指ごと木葉くんは口に入れてしまった。
指舐められてる!
何ともイヤらしいその行動を見ただけで
私は赤面してしまった。
その後は何事もなく普通に食べ始めた木葉くん。
私も木葉くんの口元を気にしながら
赤い顔をしてお弁当を頬張った。
お弁当が空になり木葉くんが口を開く。
「美味しかった~!ところで香坂ちゃんわざとお箸忘れたでしょ。」
「な、何で!?」
「お箸忘れたにしても準備が良すぎるから。ウェットティッシュにしろお弁当の中身も手で持って食べやすいのばかりじゃん。」
……バレてしまった。
本当の事喋ったら引いてしまうかな。
「…………ごめんなさい。お箸忘れたのはわざとです。」
「まぁ、理由は何にせよ俺も前からわざと忘れてたもんがあるし。」
「?」
私は見当も付かず首を傾げてしまった。
「やっぱり気付いてなかったかー。
俺がわざと忘れてたのは教科書。香坂ちゃんと話すきっかけが欲しかったから。」
「えっ?……そ、それって。」
「香坂ちゃん……好きです。
付き合って下さい!!」
真っ直ぐな瞳でストレートな告白をしてくれた木葉くんに正直とても嬉しかった。
私は告白を受けるようにコクンと頷いた。
「さっき香坂ちゃんの指味見したけど唇も味見したいなぁ~。」
キスをせがむ木葉くんは本当に可愛いかった。
こうして恋人同士になった私たち。
あの後木葉くんにわざと箸を忘れた理由を話したらそれは男が女の子にドキッとする仕草だと教えられてしまった。
男の子でもドキドキしてしまった私は本当に変態です。
いや、私をドキドキさせた木葉くんの仕草が
セクシーすぎたのかもしれません。