第13章 似た者同士
「…………すいましぇん……涙止まらなくて……夜久さんの事……迷惑だと思ってませんから……」
彼女は涙を流しながら一生懸命話す。
俺の為に泣いてくれてる優しい子だ。
多分俺と彼女は似た者同士。
俺は泣いてる彼女をグッ抱き寄せた。
「……うん、わかった。もう喋らなくてもいい。気がすむまで泣きなよ。」
彼女は俺の行動に一瞬驚いたが
体を俺に預けて泣いてくれた。
5分経っただろうか、彼女の涙が止まる。
「はい、少しは落ち着いた?」
俺は自販機で温かいココアを買ってきて
彼女に渡した。
「ありがとうございます。
甘えちゃってすみません……私は夜久さんのファンの子達に絞められちゃいますね。」
「はぁ?俺にファンなんて居るわけねぇし!」
「……夜久さん結構モテるんですよ?
格好いいって!」
……女の子に直に格好いいとか言われると照れるだろ。
「いやでも俺背ぇ低いし、現にキミよりも小さいからね?」
「……身長なんて関係ありません。
私の事慰めてくれた時
男らしい夜久さんにドキドキしちゃたし、
さっき夜久さんは自分の事馬鹿だとおっしゃってましたよね。私は夜久さんの事馬鹿だとは思いません……本当に優しい人なんだなと思いました。
そんな夜久さんならすぐに素敵な彼女が出来ると思います。」
真っ直ぐに話す彼女に
俺の事も慰めてくれているのかなと思ってしまった。
「お互い素敵な相手が見つかるといいな。」
「はい、そうですね!夜久さんよりも早く素敵な相手見つけられるように頑張ります!」
グッと指に力を入れて意気込む彼女。
やっぱり俺と彼女は似た者同士じゃない。
前向きな彼女を見て俺ももうクヨクヨするのは止めようと誓った。
「また男子バレー部見に来ますね!今度は夜久さんの応援に!これからも頑張って下さい!」
彼女はニッコリ笑って嬉しい言葉を残して帰っていった。
「これからも頑張って下さい……か。」
俺は彼女に出会えて救われた気がする。
……今度彼女に会った時は
きっと俺も笑顔で話してみせるから。