第13章 似た者同士
「夜久さーん!ありがとうございます!」
バタバタと慌ただしく俺の所に走ってくる後輩。
「……何がだよ?」
「何ってマルちゃんですよ!夜久さんが彼女と会わせてくれたんですよね?ねっ?」
まるでいぬっころのように目をキラキラさせて興奮しているリエーフの姿を見ればアイツとはうまくいったんだなと一目でわかる。
「別にお前の為じゃねぇからな!」
「またまた~!夜久さん格好つけちゃって!」
「うっせ!」
¨ドガッ!¨
「ぎゃっ!」
何となくムカついたリエーフに一発ケリを入れてやった。
「おい、リエーフまた夜久にちょっかい出したのかよ!」
俺らの騒ぎに呆れ加減の黒尾がやって来る。
「黒尾さん違います!ただ俺は夜久さんにお礼を言おうとしただけです!」
「あ?お礼だと?」
「俺、彼女出来たんです!夜久さんの同級生だったみたいで仲を取り持って貰いました!」
「へぇ~、夜久の同級生ねー。」
俺の顔を見てあからさまにニヤッとした
黒尾。
「な、何だよ!」
「べっつにー。後輩の為によくやるなぁって思っただけど?」
「……後輩思いで悪いかよ。」
黒尾に全部見透かされているようで俺は逃げるように立ち去った。
別にリエーフの為にアイツを会わせた訳じゃない。
俺はアイツの気持ちを知ったから手助けしてやっただけだ。
俺はリエーフの彼女、
アイツの事が好きだった。
アイツとあの猫に会う前にリエーフから聞かされてた。
¨俺の家の近所に居た猫にマルちゃんと呼んでいた女の子に会いたいと¨
何であの時アイツに話しかけたんだろう。
何でアイツにリエーフの画像見せてしまったんだろう。
何で俺はアイツの気持ちを知ってしまったんだろう。
……好きな子に幸せになってもらいたいなんて思う俺は馬鹿なんだろうか。
まぁ、アイツに告白する勇気もなかったけど。