第11章 缶ビール
とりあえずコイツ起こさねぇと。
香坂の頬をつねってみるが起きる気配がない。
ここで武田先生が戻ってきたら……
マズイ……非常にマズイぞ。
しょうがない。
こいつを抱いて部屋まで連れて行くしかない。
俺は香坂を一度剥がして一番連れて行きやすい体制、いわゆるお姫様抱っこで持ち上げた。
……やっぱ女だから軽いな。
そんな事を思いながら部屋を出た。
ここから香坂の部屋までアイツら日向達の部屋を通らなきゃ行けねぇ。
…………誰も廊下に居るなよ。
キョロキョロして誰も居ないのを確認して気持ち早めに連れていく。
もうすぐで香坂の部屋って所で曲がり角から月島が歩いてきた。
やべっ!月島に見られた!
「あっれー?コーチ、先輩に薬盛っちゃ駄目じゃないデスカ~!」
「薬なんか盛るか!!」
「じゃあ何で寝てるんですか?」
「……お前には関係ねぇよ。」
酒飲ませたのバレたら大問題だ。
俺は月島を無視して香坂の部屋に入った。
俺は布団を敷き香坂を寝かせた。
…………月島にバレちまったな。
まぁ、アイツの事だからそうそう喋ったりは
しねぇと思うけど。
はぁ、疲れた……。
俺は香坂の隣に横になった。
本当幸せそうなツラして寝やがって。
お前のせいで大変だったんだからな!
「…………お前が高校生じゃなければ慰めてやっても良かったんだけどな……」
俺は寝ている香坂の頬にキスをした。
「……おやすみ。」
香坂の頭を撫でて部屋を出た。
また俺は自分の部屋で一人酒を飲む。
さっき香坂に魅力があって可愛いと言ったのは本音だ。
お前ならすぐに彼氏できるよ、俺が保証する。
「あーどっかにいい女いねぇかなぁ!」
高校生には手を出しちゃいけない。
香坂への想いを酒で忘れるかのように俺はビールを浴びるように飲んだ。