第8章 秀吉さんの微笑み
秀吉さんに連れられて、私はいま城下町にやってきた。
「すごい……賑わってる」
まるでドラマのワンシーンを見ているみたい。
通りを忙しそうに人が行き交っている。
「御館様が楽市楽座のおかげで此処は賑わっているんだぞ」
「そうなんですね。信長様って凄いです」
「そうだろう?あの方は先見の目を持って豊かな国作りをしているんだからな」
まるで自分が褒められたように嬉しそうに語る秀吉さん。
秀吉さんって本当に信長様の事が好きなんだ。
「くすっ」
「なんだ?いきなり笑って」
「ううん、何でもないですよ」
なんだかそこまで他人に入れ込む事が出来る秀吉さんが羨ましいと思う反面、ほほ笑ましく思う
「で……どこに行くんですか?」
「用事があるのは此処だ」
「ここは……?」
「反物屋だ」
「うわぁ……凄い!綺麗!!」
店先には色とりどりの反物が所狭しと並んでいる。
「あ!この小花!可愛い……!こっちの桜色の生地も可愛い」
「へえ……
(天女とはいえ女だな。あんなにも瞳をキラキラさせて生地を物色してるとは)
気に入ったのはあったのか?」
「どれも素敵ですよね!」
「その手に持っているのはなかなか品がある柄だな。御館様好みでもあるし、なにより……」
「え……?」
私から反物を取ると広げて私の体に合わせる秀吉さん。
「すごく似合うな」
「っ……!」
極上の笑み___
そんな風に私に微笑みかけないでよ
胸がどきどきとして頬が熱くなってきちゃう
(秀吉さんの笑顔……初めて見た)
続く▷▷▷