第6章 天井から失礼します・・その2
この城に留まる……
一気に暗くなってしまいそう。
知り合いはいないし、もちろん心を許せるような人もいない
(三成くんなら少しは心が許せるような気もするんだけど……)
そんな中で生活していくなんて辛すぎるよ。
考えただけでも涙が溢れそうになる。
「さん、泣かないで」
「佐助くん……」
「淋しくなったらこれを俺だと思って」
私の手のひらに乗せられた皮袋。
中を開けて、手のひらに乗せてみる。
「これは……?」
「俺の愛用のマキビシ」
「まきびし?」
「淋しい時はこのマキビシを見ると癒やされる。
ほら、このトゲトゲしている所がなんとも萌えポイントだろ?」
……ごめんなさい。
私にはこのトゲトゲが萌えの対象にならないんだけど。
「マキビシほど愛らしい武器はないと俺は思うんだ。
この可愛いらしいトゲトゲが俺の身を守ってくれると思うと……」
恍惚とした表情を浮かべ、マキビシについて語る佐助くん。
どうリアクションしていいのかわからなくて、視線を彷徨わせていると幸村さんとばっちり目があってしまった。
幸村さんは苦笑いを浮かべ
「佐助の事は放置しておけ」
「う……うん」
「良い奴なんだけどよ。マキビシを語りだすと止まらねーんだ」
「そ、そうなんだ……」
幸村さんにつられて私も苦笑いを浮かべてしまっていた。
続く▷▷▷