第5章 天女伝説?
とりあえずこの城を出て佐助さんを探さないと。
まだ若干痺れているけど歩けないわけじゃない。
広間を出ようとするけど……動けない?
「勝手に動くな」
私の手首を掴んでるのって信長さんじゃない。
なんで?
「貴様は天女ではないのか?」
「違いますよ」
「ではどこから来た?」
どこって……未来?
未来って言ってわかってもらえる気がしないんだけど。
「こんな珍しい着物を着ているのは初めてだ」
「え?!ちょっ……!!やめて!!」
スカートの裾に信長さんの手が触れたのと同時に私は信長さんの頬を思いっきりひっぱたいていた。
手のひらがジンジンと熱を持っていく。
「御館様に無礼を働くとは天女とはいえ赦さん!!」
たれ目の人が刀を抜いて立ち上がるのが視界の端に映って……私は殺されるの?!
恐怖で足が竦む。
「秀吉、控えろ」
「しかし!!」
「構わん……貴様、天女ではないのか?」
「……さっきから言ってますよね?」
「名はなんという?」
「……ですけど」
「__
気に入った。俺の傍に置いてやる」
「はい?!」
「俺の頬を張る女は初めてだ」
「あの……」
「秀吉、の世話をしろ」
「御館様がそうおっしゃるなら
(御館様に手を上げるような女の世話だと?
気に入らないんだがな)」
秀吉さんの刺さるような視線を受けながら、私は安土城で暮らしていく事になってしまった。
続く▷▷▷