第16章 機転
【番外編】
羽「さてと……上手くいったかな」
騒ぎがだいぶ落ち着き
夜の街になる
羽場はビルとビルの間の路地で
しゃがみこんでいた
あの後花岡さんを助ける為に僕は
兄貴……アキラ、いやアリヒトの演技をした
そして嘘の情報を流して
監督さん達を外へ逃がした
速攻で髪型を変えてバレないか怖かったけど
まあ、なんとかいけた。
さすが兄弟……出来るもんだなぁ
羽「……アリヒトは何でそんなに無理をするんだ?
確かに僕らの 妹 はアイツに殺された。
__それで終ってはいけないのかな」
復讐に意味なんてないじゃないか
例えそれが 妹殺し でも
それが たった1人の残された家族 だとしても。
アリヒトは変わってしまった
……アイツに毒されてしまった。
復讐の為なら人を殺すことを厭わない
……それが無関係の人であれど
羽「アリヒト……いやアキラ
__兄さんは何を望んで花岡さんを……」
考えていたら頭が痛くなってきた。
僕は一体何に対して悪になればいい?
……僕は……僕は。
羽「兄さん……
僕があの時怖気づかなければ、兄さんは毒されなかった?」
あの日僕が
裏の世界に怖がらなければ
兄さんの後ろに隠れなければ
後悔だけが積もっていく。
羽「ていうか、黒の組織は何の為に花岡さんを
狙ってんだよ……しかも松野さんまで……」
【悩み続けても何も生まれないよ、史朗】
羽「……?!、誰?」
羽場の頭に電子音が響く
【何かを変えたいのなら、選択をして!史朗!
__貴方も助けたいのでしょう、雪を】
羽「雪……?何のことだよ」
【……そう、貴方は知らないんだね。
お願い、史朗……どうか選択をして!
貴方が雪を……主人公を……助けたいのなら】
羽「なんだよ……主人公?
僕だって主人公のハズじゃ……」
【君の力も必要なの、__ 貴方 を、導いて!】
羽「……貴方……?!
何でその名前を知ってるんだ?!?!」
その瞬間
辺りに真っ白な光が瞬いた
羽「っぐ?!
おい待てよ!……話は終わってない!!
__なんでお前が貴方を……
僕の友達の名前を知って……!」
【……ごめんなさい、史朗】
羽場が何かを叫ぼうとした瞬間
この世界から消え
また同じ世界が始まっていた