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白いアリスは彷徨う

第13章 帰宅







ウサギに連れられてやって来たのは、あの部屋。


私の部屋と唯一繋がっている部屋。






石版のある部屋。











怜「・・・御前。」



その言葉に弾かれたようにこちらを見る國常路大覚。




國常路「・・・戻ってきたか。」
怜「お父さんとお母さん、思い出したんです。私の事。」
國常路「・・・。」
怜「貴方がそんなヘマをするわけがない。つまり、記憶を取り戻せたのは貴方がウサギに指示をしたから。」




ずっと、もしかして、なんて思ってた。

その、まさかだとは思わなかった。





怜「ありがとうございます、御前。」



助けてくれたのでしょう?






國常路「・・・お前に憎まれる事はあれど、感謝される所以はない。」
怜「御前、私が分からないとでも思ってますか?私にパソコンを与えたのも、人形で部屋が溢れ返っているのも御前でしょう?」




元々私の部屋には何もなかった。
そこにベットも机もカーペットも窓も付けたのは御前。


ここで私を私と見ていたのは御前。





怜「貴方は私を守ってくれたのでしょう。他の人達から。」





國常路「・・・お前・・。」


怜「分かってますよ。あそこの施設の人間が口うるさく言ってましたし。」



“コイツはただのストレインじゃない!”
“お前は黙って研究されればいい。”




國常路「・・・。」


怜「御前、守ってくれてありがとう。」




そう言って微笑む怜に、國常路大覚は別の人間を観た。





“大覚、ありがとう。”







なぜ、こんな幼い子供に・・・。








怜「自分の事は自分でします。ここに住む事も、ないかもしれません。・・・でも、また、ここに来てもいいですか?」


國常路「・・・部屋は。」
怜「私、黒だけじゃなくて白も欲しいです。」
國常路「・・・そうか。」
怜「ありがとう、御前。こんな形だけど、貴方に会えてよかった。」



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