第23章 侵入
ウサギも寝静まった夜、怜はパチリと目を覚ました。
むくりと起き上がり、隣を見るとスヤスヤと眠っている多々良がいた。
怜はベッドから降りるとペタペタと素足で地面を歩く。
妙だ。騒がしい。
怜「・・・何かいる。」
音はどんどん大きくなる。
出るべきか。
“貴方の大事な物を護るのよ。”
バッと後ろを向くも誰もいない。
もちろん、正面にもいない。
怜「・・・。」
ベッドを見やると、スヤスヤと穏やかに眠る多々良。
怜「・・・これは様子見かしら。」
翌日になっても、誰かの気配は消えなかった。
起きた多々良にはすぐに部屋の外に誰かいる事、大声を出さない事を言った。
昼過ぎになって、気配が増えた。
多々良「・・・?怜?」
怜「・・・アンナ・・?」
多々良「え・・・。」
ジッと怜は部屋の扉を見つめる。
怜「・・・アンナ・・!」
ガシッと怜の腕を掴む多々良。
多々良「待って。」
怜「でも、アンナが・・・!」
多々良「外に何人いるか分からないんでしょ?」
怜「・・・そう、だけど。」
多々良「アンナが来たって事は、少なからず連れて来た人は増えてる。・・今出るのは得策じゃないと思うよ。」
怜「・・・アンナ・・。」
多々良「時は必ず来る。だから・・ね?」
怜「・・・ひこ・・。」
怜はギュッと自身のケータイを握りしめた。