第1章 暇と用事と企みと
そうじゃなきゃ、兄さんがこんな話をするはずが無い。絶対に何か狙いがある。そう、私は確信している。
「アイツらが柊を良く思っていないのは知っているだろう。お前だって」
「……そりゃね」
そう、あの2人……。いや、私も含め3人は柊家を好いていない。嫌っている。
「だから、私と結婚でもさせてこの家から、柊から離れないように縛りつけておきたい。ってこと? 」
「ま、そういう事だ」
「私だってこの家が大嫌いかもしれないのに? 」
兄さんは私を馬鹿にしたように「フッ」と鼻で笑う。
「お前はこの家から離れられないよ。絶対にな」
どこか、確信しているように言う兄さん。
「で、さっきの質問に答えてもらおうか」
ごめん、深夜、グレン。私の所為で人生、めちゃくちゃかも。
「深夜」
意外だなって顔で見てくる兄さん。何だか腹立ってくる。
「グレンかと思ってたよ」
「なら、グレンにすれば良かったじゃない。兄さんが決めて」
「可愛い妹の意見を尊重してやろうと思っただけだろう」
「どうだかね」
クスッと笑う。