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嗚呼、恋しき人よ。今ならば……

第1章 暇と用事と企みと



仕事が早く終わった今日。
暇だなー。グレンの所に遊びに行こうかな。と執務室を出ようとした時だった。

コンコンコン
ノックされたドアに向かって「どうぞー」と声をかける。どうせ深夜かグレンだろうと。が、そこにいたのは暮人兄さんだった。

「やだ、執務室まで来るように言ってくれたら私が行ったのに」
まさか、暮人兄さんだとは思わなかった。兄さんが私の執務室に来るのは初めてだと思う。

「いや、ちょうど用事があったから、その序にだ」
「そこは用事を序でにするべきでしょ」
「俺がそんな事はしないと知っているだろう」
「そうね、知ってるわ」

だって、実の兄だもの。そう言いそうになったのをグッと堪えた。実の妹だろうが何だろうがこの人には関係ないだろうから。

「深夜は一緒じゃないのか」

暮人兄さんの何気ない一言で、私はちょっぴり機嫌が悪くなる。

「どうして、暮人兄さんも、グレンも、その他の人も私と深夜が常に一緒にいると思ってるのかしら」

別に、深夜のことが嫌いなわけじゃない。寧ろ好きだ。けど、セットにされるのは何か嫌だ。

「まぁ、そう怒るな」
「別に怒ってなんかいないわ」

「そうか」と言って暮人兄さんはソファに座る。

「お前、深夜とグレンならどっちが好きなんだ」
「 え 」

暮人兄さんが恋バナ? 明日は雨ね。任務し支障をきたさなきゃ良いけどね。

何ていう、おふざけもここまでにして。

「今度は何を企んでるの」

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