第8章 フラッグ生誕祭
「誕生会?」
「そうダジョー。にも是非出てほしいんダジョー」
社長……否、ハタ坊のところに通うのも慣れてきた、ある暖かい日。
私は彼のお誕生日会に招待されました。
「皆呼ぶジョー、きっと楽しくなるジョー!」
そう言ってニコニコ笑うハタ坊は本当にその日を楽しみにしているようで、壁にかかっているカレンダーにもその日が赤ペンで丸してあることからもその期待度は推測できる。
私としても、お世話になっているハタ坊の頼みとあらば断る理由もない。その日は予定もないし。
「喜んで!」
誕生日会まであと数日。
彼が喜ぶプレゼントでも探そうかな、そう思いながら私は彼に笑顔を向けた。
「ハタ坊って何が好きなんだろ…」
ハタ坊の元を離れて街に繰り出してみたものの、何を買うか考えがまとまらずに歩くこと数時間。
どうしたらいいものかとショーウィンドウを眺める。
ハタ坊といえばもちろん旗。
だが旗を作ってる人間に対して旗は果たして必要なものか?
………いや、決して旗をかけてはいない。いないよ。
他にハタ坊の好きなものを用意すべきではないだろうか。
いや、むしろ他のものを渡して興味を持ってもらい、旗から離れてもらうのもありかもしれない。
あそこの会社の雰囲気に慣れたとはいえ、旗への信仰は正直未だに怖いのだ。
ここらでミスターフラッグの視野を広げてもらうのも一手。
「他にハタ坊が好きそうな、好きそうな………」
ぶつぶつと呪文のように呟きながら歩く。
「あ、これいいかも」
やがて目についたある物を手に取って、私は一つの案を思い付いた。
楽しい会になりますように。