My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
知らない
要らない
求めてない
私が求めているものは
ひとつだけ
贅沢なんて言わない
我儘も言わない
ひとつだけでいい
それだけ
その温もりだけくれるなら
他は何も望まないから
「雪、目を背けるな。耳を閉ざすな。ワタシの言葉を聞け」
「嫌…っ」
私の中を勝手に掻き回して
私の心を勝手に掻き回して
勝手に揺さぶらないで
嫌なのに
やめて欲しいのに
「雪…」
そんなに切に呼ぶから
泣きそうになってしまう
そんな感情要らない
そんな感情持たせないで
そんなもの、持ってしまったら──
もう 戻れなくなってしまう
「…ッ…!?」
「むっ」
目の前で私を呼ぶ青年の姿が、ぐにゃりと歪む
「これは…もしや──」
ぐにゃぐにゃと歪む中で、その人の声が途切れていく
「…ぃ……は…」
何を言っているのか
よく聞こえない
"──"
…ひとつだけ
"──雪"
どこか聞き慣れた低い声が
私を呼んでくれた
気がした