My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
…不要…なの、かな…
──幸せそうに笑っておるだろう
──それが何よりの証だ
確かに、そうだ
とっても幸せそうだった
知らない二人だけど、見ているだけで伝わってくる
その温かさが
二人の絆が
誰も間に介入することはできない
そんな強い絆があるように見えた
人の幸せそうな姿を見るのは好き
こっちまでその幸せを、分けて貰える気がするから
「………」
好き…だった
けど
本当は 羨ましかったんだ
「……っ」
なんでだろう
なのに今、私の心を覆うのは羨みじゃない
ツキン ツキン
心が 痛い
哀しい
寂しい
泣きたくなるような
そんな気持ち
──…可哀想に
──主は何も悪くない
──ただ、あ奴と御主の道が違った
──それだけのことだ
自分の体を強く抱いて俯く
自分自身を抱きしめる私の体は、見慣れない褐色の肌色
それもなんだか哀しくなって
ぐっと唇を噛み締めた
「…なんで違うの?」
私はあの人と一緒じゃいられないの?
──……見ぬは娯楽、知らぬは仏だ
返ってきたのは、問いへの答えじゃなかった
──主が悲しむ必要などない
──心が痛むなら、見なければよい
見ないって…あの二人のこと?
──うむ
──主のことを見ておる者は、ちゃんと此処にいる
手が、触れた
「…ぁ」
これ…前にも一度あった
「御主のことは、ちゃんとワタシが視ていよう」
はっきりと届く声
知らないはずなのに、知っている声
自分で自分を抱いていた私の両腕を
労わるように、そっと触れてくる
同じに浅黒い、褐色の手