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My important place【D.Gray-man】

第39章 夢現Ⅲ



 まさか昨日の今日で止めてもらえるとは思ってなかったから、驚いてしまった。
 …理由が理由だからかな。
 流石、誰よりも任務にストイックなエクソシスト。


「ぁ…ありがとう…」

「その跡が消える前に任務終えてこい」

「え。」


 助かったと胸を撫で下ろしていれば、ユウの指先が私の首筋に触れる。
 そこは無数の花弁のように散らされた跡より、もっと高い位置。耳のすぐ下。

 …まさかこんな所に付けたんじゃ…


「これじゃ服で隠せないから…っ」

「だから付けたんだろ」

「はいっ?」


 わざとってどゆこと。


「嫌がらせですか」

「違ぇよ。虫除けだ」


 思わずツッコめば、あっさりと返される。
 虫除けって…。


「……別にそんな必要ないのに」

「お前になくても俺にはあるんだよ」


 ……そういう気持ちは…嬉しい、けどさ…。
 私のこと、気に掛けてるってことだから。
 でも流石にこんな見えるところは頂けないんですが…ファインダー仲間に見つかったら、絶対笑われる。
 もしくは虫刺されか何かに勘違いされるかも。

 ……。
 …そっちの可能性の方が大きいかもしれない。


「……というか、それ私の台詞だから」

「あ?」


 寧ろ心配なのは私の方だから。
 ただでさえその無駄に…ごほん。
 無駄一つないパーツで、時には女性にさえ間違われる程の美形の持ち主なのに。
 自分がモテる顔だって自覚して欲しいのに、当の本人は全く気にしてない。


「私だって……虫除け、したい」


 何言ってるんだろう私って思ったけど、よく体のどこかしらに跡を付けてくるユウだから。
 シャワーを浴びてそれを見つける度に、なんだか照れ臭い気持ちになっていた。

 …多分、嬉しさもあったから。

 初めての痛みを受け入れられたのと同じ。
 ユウと心だけじゃなく体でも繋がれた証みたいなものだから、きっと嬉しかったんだと思う。
 だから私も、残してみたかったのかも。
 ユウのその体は…私のものだって証。


「……」


 そんな私の言葉が予想外だったのか、ぽかんと見てくる睫毛の長い瞼が一度瞬いて。


「無理だろ」


 そう、あっさりと否定した。

 …なんですと。

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