My important place【D.Gray-man】
第38章 幾哀心
「じゃあマリと私でユウの見守り隊でも結成しようか」
「なんだそれ」
「別名"ユウを幸せにし隊"」
何が幸せかなんて、自分でもわからないけど。
本音のまま笑って言えば、マリも穏やかに笑ってくれた。
「神田が聞いたら嫌がりそうだな」
「だからこれは私とマリの秘密ね」
ぽんと分厚い胸板に軽く手を当てる。
「マリは自分じゃ救ってやれないって言ったけど…私はマリのその存在に勇気を貰えたから。一緒にユウを見守っていて欲しいな」
誰にも必要とされない存在なんて、きっといないから。
ユウがマリを邪険にしないでいるのが良い証拠。
大なり小なり、きっとマリの存在はユウに影響を与えていると思う。
「…わかった。なら、雪の力になろう」
心音で伝わったのかな。
ふ、と顔を綻ばせるとマリの大きな手が私の頭に乗る。
くしゃくしゃと撫でてくれる手は優しい。
自然と笑みが漏れれば、マリも優しく笑い返してくれた。
なんだろう。
なんだか、幸せだなぁって思える。
私が大切にしたい人を、こうして託してもらって。
私が支えたい人を、こうして一緒に思ってもらえる。
私一人だけじゃ生まれなかった幸せ。
誰かと分かち合える幸せに、心はふわふわ浮き立つ。