My important place【D.Gray-man】
第38章 幾哀心
「私の思いを押し付ける気じゃないんだ。ただ…あいつを支えてやって欲しい。それはきっと私じゃなく、雪だからできることだと思う」
「……」
支えたいだなんて、大それたこと言えないと思ってた。
それはその人の人生に関わるってことだから。
それだけの覚悟がないと、簡単には口にできない。
だから簡単に口にしちゃいけないと思ってた。
そんな偉そうなこと。
…それは私の臆病な心が言い聞かせてたこと。
でもユウはそんな私に言ってくれた。
世界は捨てたもんじゃないって、笑ってくれた。
あの時、酷く胸が締め付けられたんだ。
泣きそうになるくらい嬉しくなった。
私の存在がユウの中の何かを変えられたのなら、そんな幸せなことはないと、はっきり感じられたから。
「……うん」
首を縦に振って頷く。
任せてなんて、自信満々には言えないけど。
「私も…ユウを支えていたい」
そう、今ならはっきり言える。
私なりの覚悟はできてる。
ユウの人生に関わっていたい。
あの人の傍にいて、一緒に生きていたいから。
「私に何ができるかわからないけど…"私なんか"って思うのは、やめにした」
"私だから"とユウは言ってくれた。
エクソシストもファインダーも関係ない、私自身を見て、求めてくれたから。
「ちゃんと傍にいる。ユウの傍で、一緒の世界に立っていたいから」
世界を嫌うように一人で立っていた人だから。
もう一人にはさせたくない。
私も教えてもらったんだ、ユウに。
泣きたくなる程、温かいものを貰える嬉しさを。
だから私も傍にいて、ちゃんと伝えていたい。
世界も捨てたもんじゃないんだって、ユウが笑っていられるように。
「…そうか」
その目は視力を失っているのに、まるで見えているかのようにマリは目を見張って笑った。
…きっと心音で伝わったのかな。
私の覚悟。