My important place【D.Gray-man】
第38章 幾哀心
沢山美味しいものご馳走してあげたら、アレンもまた今朝見せてくれた笑顔を見せてくれるかも──
……。
そう思い浮かんだのは、柔らかい笑みじゃなくてにっこり笑って"はい"なんて頷く顔だった。
思わずピタリと足が止まる。
「…まさか見られてたなんて」
そしてがっくり肩を落として意気消沈。
具体的には口にしてなかったけど…多分あれ見られたんだよね?
あれって言ったらあれしかないもんね…。
その…病院のベッドの上で、ユウとキス──
「あーあーあー」
頭の中にその時の光景が浮かんで、慌てて両手を振って消す。
そんなの見られてたなら、恋仲だってバレても仕方ないよね。
でもアレンに見られてたなんて…なんて……
「…恥ずか死にたい」
両手で顔を覆って意気消沈。
……。
……………。
……………………というか最近、ユウとのこと周りにバレ過ぎな気がする。
リナリーは言わずもがな。
ジェリーさんも会う度にツッコんでくるし。
逆にツッコんでこないリーバーさんは大人な対応だと思う、素敵です。
そしてコムイ室長は…謎だ。
そういえば今日みたいにユウの部屋に泊まってしまって、朝出てきたところをマリとチャオジーに見られたこともあったっけ。
同じティエドール部隊の二人は、部屋も近いみたいだし。
…あの時は色々気まずかったなぁ。
「…今日はちゃんと自室で寝よう」
昨日はついユウの部屋に長居してしまったから、そのまま寝ちゃったけど。
…だって傍にいると落ち着くから。
毎朝、起きると第一に確かめるのは自分の体。
またノア化していないか、肌を見ていつもと変わりないことにほっとする。
そんな毎日は、少しだけ疲れる。