My important place【D.Gray-man】
第8章 黒の教団壊滅事件Ⅱ
窓の外の真っ暗な空には、暗雲が立ち込める。
ゴロゴロと雷音を鳴らしながら、横殴りの強い雨が窓ガラスを打ち鳴らす。
そんな嵐の中の、深夜の教団。
「右、クリアさ」
「こっちも大丈夫」
「よし。行くぞ」
雷で停電でもしたのか。暗く広い建物内を、部屋を出てこそこそと隠れながら進む。
その人影は、女一人と子供二人。
最初こそ荒々しく駆け回っていたゾンビ化人間達だったけど、暫くすると落ち着いたのか。ずるずると衣服や足を引き摺りながら徘徊を始めた。
その姿はまさにゾンビ以外の何者にも見えない。
「ハァァアア…」
辺りに漂うのは、静寂に紛れる吐息のような声。
あのトイレで聞いた声も、きっとゾンビ化した誰かだったんだろうな…。
そう思うと、ちょっとほっとした。
よかった、幽霊とかじゃなくて。
「気味悪ィけど、まだ生きてるからマシだよな~」
恐る恐る辺りを見渡しながら、私の後ろを歩くラビが呟く。
同じようなことを思ってたラビに、つい視線が向く。
「ラビ、幽霊とか苦手だもんね」
「そ…それなら雪も同じじゃねぇさ? 前に怪談話した時に…っ」
「無駄話をするな。見つかったらどうすんだよ」
それを制したのは先頭を歩く神田。
ラビと同じく小さな子供姿なのに、顔色は一つも変わらず怯えた様子は全くない。
本当、あの墓地での任務といい、ホラー系に強いよね。
大変、頼りになります。
「リーバーさん達、何処に隠れてるんだろう…」
にしても教団はとても広いから。この中から逸れたリーバーさんやコムイ室長達を見つけるのは、困難だと思う。
「オレだったら外部と連絡取れる通信室か、司令室に行くさ。あの部屋、一番頑丈だし」
確かに此処で一番偉いコムイ室長を守る為の部屋は、何処よりも強固に作られている。
体は小さくても頭脳は以前のまま。
普段はチャラけて軽く見えるけど、頭良いんだよね。
ラビも大変、頼りになります。
「じゃあ通信室の方が近いし、そっちを先に捜そう」
ラビの意見を参考に、そう結論付けて通信室へと進んだ。