My important place【D.Gray-man】
第36章 紡
「それに普通だなんだ言うなら、俺だって普通じゃねぇだろ」
「それは…まぁ…」
「大体"普通"ってなんだ。そんな枠組み、人によって違うだろうが」
そういうこと気にするタチだったのか、お前。
そういう奴には見えなかったけどな。
「だから…その、」
呆れ混じりに言えば、腕の中の存在がもごもごと口籠る。
何が言いたのかさっぱりで、腕の中を見下ろす。
抱き込んだこいつの頭部しか見えないから、どんな表情をしているのかまではわからない。
「…私、が」
わからなかったが、届いた声は。
「……教団側の…人間じゃ、なくても」
酷くぎこちないものだった。
……。
……………。
……………………は?
「………何言ってんだお前」
またもや突拍子もない言葉に、思わず脱力する。
なんだ、教団側の人間じゃないって。
教団以外なら何処の人間になるんだよ、お前。
そう呆れそうになって、思わず止まった。
『一体、何を隠している?』
モヤシに金銭を支払って目にした、ティムが記録していた"あの日"の映像。
雪とルベリエが、クロス・マリアンの事件部屋で言葉を交わした日のこと。
そこでこいつはルベリエに尋問されていた。
尋問の内容は定かじゃなかったが、エクソシストでさえも道具としか見ないあのルベリエが目を止めるくらいだ。
…中央庁とこいつは何か関係してるのか。