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My important place【D.Gray-man】

第35章 抱擁



「痛い訳じゃねぇんだろ」

「…それ、は…」


 痛くは、ない。

 一度イったからか、私のそこは充分に濡れていて、神田の指もすんなりと飲み込んでしまった。
 僅かに頷いてみせれば、暗闇でも伝わったのか、中の指が擦るように前後に蠢く。


「なら素直に感じてろ」

「ッ…感じるって…さっきイったんだ、って…っ」

「…だからだろ」

「はぇ?」


 あ、思いっきりマヌケな声が出ちゃった。

 耐えるように構えていたら、聞こえた予想外の言葉に思わず暗闇の中の神田を凝視する。
 暗闇だけど、見慣れた顔はなんとなくわかる。
 その目は真っ直ぐに私に向けられていた。


「もっと見てたいんだよ。…月城のその声を聞いていたい。だから感じてろ」


 相変わらずのぶっきらぼうな言い方なのに、率直に求めてくる言葉にぞわぞわと肌が粟立つ。

 なんで、そういうこと言うかな…っ
 変にぞわぞわするんだけどっ


「力抜け。指が千切れる」

「そんな…こと、言ったって…」


 さっきみたいな強い刺激はないけれど、どこかむずむずする感覚。
 そんな感覚に身を預けるのは少し怖くて、思わず躊躇する。


「…痛くしねぇから」


 ふと、神田の声が僅かに緩んだ。
 頬に片手が添えられて、顔を寄せられる。


「優しくする」


 そう囁いたかと思えば、その言葉通りの優しいキスをされた。
 啄むように、何度も優しく触れるだけのキス。
 頬に触れる手もそのキスも酷く優しくて、行動で示してくれている姿に胸はいっぱいになった。

 …狡いよね。
 普段は乱暴な癖に、こういう時にこんな姿見せるなんて。


「力抜け。大丈夫だから」

「……ん」


 目の前の神田に身を委ねるように、目を瞑ってキスを受け入れる。
 柔らかい感触を唇に感じながら力を抜けば、私の中に埋まった指が、ゆっくりとまた動き始めた。

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