My important place【D.Gray-man】
第32章 幾恋心
「私何も余計なことしてないからっ苛めるのやめて下さい!」
アレン関係で余計な口出してないでしょ。
大人しくしてたでしょ。
なのに写真撮られる理由がわかりません…!
「あら、苛めてなんかいないわ。本当に素敵な笑顔だなって思ったから。形にして残したかったのよ。ね、」
「その画像、後でオレのゴーレムにも送ってくんね?」
「あ、僕も欲しいです」
「……」
にこやかに笑顔でリナリーが呼びかければ、頷くラビの隣で挙手するアレンの姿が。
そんなアレン達を見るリンクさんは、呆れ顔。
え、ちょっと待って。
じゃあ皆見てたの。
私とクロウリーが話してた姿。
…なんか恥ずかしいんだけど。
「って、変にばら撒かないで下さい。クロウリーが可哀想だからッ」
「私は平気であモゴッ」
「ね、クロウリー!」
苦笑混じりのクロウリーのその口を、咄嗟に手で覆って言葉を止める。
今はその優しさは不要かな!
私に話合わせて下さい!
「ばら撒いてるつもりはないんだけどな…形にしたかっただけよ。雪のあんな笑顔、私あんまり見たことないし」
歩み寄ったリナリーが、私の手を握る。
「朝も言ったでしょ? こうして誰かを着飾ってあげるの、初めてだから凄く楽しいの」
両手で包み込むように私の手を握って、ふわりと笑みを浮かべる。
そうして伝えてくるリナリーの言葉に偽りは全く見えなかった。
「だから形に残しておきたかったの」
「……」
そう偽りなく笑うリナリーに、何も言えなくなる。
…形に残すことの意味の大きさは、私にもわかったから。
私にとって父と母がそうだった。
些細な情報でも、教団で働いていた記録しかなくても。
確かに形として残っていた僅かなそれは、幼い私の心の拠り所としてずっと支えてくれた。