My important place【D.Gray-man】
第32章 幾恋心
朝イチで向かった司令室で任された任務は、単なるイノセンス回収任務。
其処には今回組まされるファインダーのトマの姿があった。
「じゃあそういうことで。任務任せたよ」
「……」
「神田くん?」
「……なんで今回の任務、月城を外した」
「え?…雪くん?」
別段、気にかけていた訳じゃない。
ただ月城が気にするから、どこか俺の中でもつっかえていただけで。
だからなんとなくコムイに問いかけてみた。
今回の任務で、俺と月城を組ませなかったことを。
なんとなく、聞いてみただけだった。
「へぇえ~」
なのに返ってきたのは返答じゃなく、癇に障るようなニヤけ顔。
ニヤニヤと意味深に笑いながら俺を見てくるコムイに、聞くんじゃなかったとすぐ後悔した。
「そっかー、雪くんと一緒がよかったんだー」
「…んなこと一言も言ってねぇだろ叩っ斬るぞ」
「まーまーまー」
あまりに癇に障るから、本気で斬ってやろうかと思ったくらいだ。
「君が望むならまた雪くんとの任務を宛がうよ」
「誰もそんな希望、口にしてねぇだろ」
「あれ、そうなの? じゃあやめとくよ」
「……」
その言葉はいけ好かなかったが、ここで抗うとまた変に笑われそうで口を閉じた。
「…好きにしろ」
別に月城と任務が別々になったからって、気にする程のことじゃない。
元々俺と月城が何度も組まされることの方が特異なことであって、これが本来の任務の形だ。
何を企んでるかわかんねぇがコムイの思惑通りに動くのが嫌で、それだけ吐き捨てると、さっさと司令室を後にした。