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My important place【D.Gray-man】

第32章 幾恋心



「アレン、男性用洗面所はあっちだって。リンクさんは?」

「ちんく?」

「うわ…完璧寝惚けてる…ほら起きて起きて」


 ぱんぱんと目の前で手を叩く。


「ウォーカー! 何堂々と婦女用の敷地を跨いでいるんです!」


 あ、いたリンクさん。

 荒い声に目を向ければ、きちんと洗面所入口前で背中を向けて中を見ないようにしているリンクさんがいた。
 相変わらず、きちんとしてる。


「待っててリンクさん、今連れていくから。ほらアレンこっち」

「ふぁい…? あ、雪さん。おはようございます」

「はい、おはよー」


 アレンの手を引いて出入口まで連れていく。


「お願いしますね、リンクさん」

「全く…!」

「ちんく?」

「いつまで寝惚けてる気ですか!」


 昨日遅くまで起きてたのかな。
 寝惚けてるアレンを引き摺っていくリンクさんに、苦笑混じりに手を振って見送る。

 あー、吃驚した。
 普通に隣にいるんだもんなぁ。


「……ん?」


 そういえば、私の言葉に普通に賛同してたけど…なんでだろ。
 白い影に溜息をつく私に、賛同する理由は見当たらない。
 だってこれが見えるのは私だけだし。


「……」


 もう一度、洗面所の鏡を見る。
 相変わらずそこには私の背中に寄りそうように、ぴったりと白い影が映し出されていた。


「…寝惚けてただけかな」


 多分そうだろうな。
 アレンもきっと適当に応えてただけなんだろう。

 うん、きっと偶々。

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