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My important place【D.Gray-man】

第31章 嘘と誠



「……」


 静寂ができる。
 沈黙を作る神田は、何を考えているのかわからない。

 …重いって思われたかな。





「そんなことでいいのか」





 ──え。

 呆気無く返された言葉に、思わず驚く。
 もしかしたら認めてくれるかな、とは思っていたけど…そんな簡単に受け入れられるとは思っていなかったから。
 思わず顔を上げれば、溜息混じりな神田と目が合った。


「んな念押さなくても、黙ってろっていうなら言わねぇよ」

「…ほんとに?」

「ああ」

「ほんとのほんと?」

「ああ」

「でも、もしもの話でいつか言えるかも…わからないのに…」

「知ってる」

「え?」


 知ってるって…何を?
 もしかしてノアのことがバレたのかと一瞬ひやりとしたけど違った。


「お前が簡単に言葉にできない奴だなんて、とっくに知ってる。そうなった原因を俺は知らねぇから、無理に吐き出せなんて言わない」


 それは迷いなき、真っ直ぐな言葉だった。


「嘘だなんだ、それも同じだ。嘘ついたくらいで嫌うなら、とっくに嫌ってる。俺に作り笑いばっかしてた奴だろ、お前は」

「……」


 それは…まぁ…確かに…。


「だから今更だ。お前の面倒な性格なんて承知してる。言えるようになれば、言えばいい」

「…待ってくれるの? いつになるかも、わからないのに…」

「俺の隣にいるんだろ」


 手が伸びる。


「ちゃんと手の届く所にいるなら、いくらでも待ってやる」


 少しひんやりとした冷たい手が、私の頬に微かに触れる。


「だから言えなくても、全部一人で抱え込もうとはするな。キツい時はキツいって言え」


 それはこの頬に触れる手と同じに、優しい声だった。
 優しくて、それでいて真っ直ぐな言葉。
 神田のオブラートに包まず告げてくれるその言葉は、いつも私の心にはっきりと届く。


「…うん」


 解決なんてしていないのに、私の心を軽くしてくれる。

 …本当、凄いなぁ。

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