My important place【D.Gray-man】
第31章 嘘と誠
「そ、それよりっ神田は明日も休みなのっ?」
ぐいぐいと肩を押し返しながら、咄嗟に話題を変える。
私はまだ新しい任務は入ってないから、多分神田も一緒。
二日間休みなんて珍しいから、それなら明日も一緒にいられるかな、と思って。
「…いや。明日は朝イチで任務に発つ」
「え?」
予想外の言葉に、思わず押し返していた手が止まってしまった。
「今朝、コムイからゴーレムに連絡が入った。明日任務説明を聞いて、そのまま現地に行く」
「…そうなんだ…」
なんの任務なんだろう…。
というか私は呼ばれてないから…多分、一緒の任務じゃない。
イノセンス回収であってもAKUMA討伐であっても、今までは神田と一緒の任務が多かった。
だからこそ、そうじゃないことに違和感を覚えた。
「…また別々なのかな?」
肩から手を離して、苦笑混じりに問いかける。
見えない心の距離を遠くに感じていた頃は、当たり前に隣で任務をこなしていたのに。
見えない心の距離を触れられる程に近く感じると、まるで比例するかのように重ならなくなった任務。
以前なら別々の任務だと、気が楽で嬉しがってたと思うけど。
今は…違う。
ローマでの任務であんなことがあったばかりだし…だからこその心配もあるけど。
任務はどんな内容であっても、不定期に伸びたりすることはよくあるから。
それだけ神田と不定期に会えなくなるんだと思うと…寂しさを感じた。
「…俺は死なねぇって言っただろ」
そんな気持ちが表情に出ていたのか、わからないけど。神田は静かな声で、そう応えてくれた。
「それよりお前の方こそ、俺のいない所で大怪我なんてするなよ」
「…気を付けます」
とん、と神田の指先が額の絆創膏に触れる。
もうそこに触れられてドキリとすることはなくなったけど、罪悪感は湧いてつい苦い笑みになってしまった。