My important place【D.Gray-man】
第30章 想いふたつ
──……神田…?
呼んでる
──神田ってば…っ
今にも泣き出しそうな声で
──ねぇ、神田…ッ
わかってる
聞こえてるから、そう何度も呼ぶな
──起きてよ…!
わかってるから
ちゃんと起きる
だから泣くんじゃねぇよ
──っか、んだ…ッ
俺はこんな所で立ち止まれないし
立ち止まる気もない
"あの人"に会う為に
それまでは絶対に死なないと決めた
けれど今、思うのは
──死んじゃ…いや…ッ
こいつを置いていくのが
こいつを一人にさせるのが
堪らなく嫌だから
だってお前、甘えんの下手だろ
言葉だってすぐ呑み込むし
作り笑いばっかで
俺が消えたら、またそうやって一人で生きていくんだろ
そうやって
全部呑み込んで背中を向けて
一人で生きていくんだろ
…させるかよ、馬鹿が