My important place【D.Gray-man】
第30章 想いふたつ
「…"あい"って、なんだ…?」
「え?」
人を"あいする"ということ。
それを教えてくれた時のエドガー博士は、優しい笑みを浮かべていた。
いつもヘラヘラ笑ってるけど、その時だけは違う笑顔に見えた。
「博士は…どうやって"あい"を、見つけたんだ」
「ええっと…愛っていうのはね、目に見えないから…簡単に見つけられるものじゃないんだ」
トゥイ支部長のことを、息子のことを、口にする時。エドガー博士は少し、いつもと違って見える。
トゥイ支部長を見る博士の目は、いつも優しかった。
その目を見てると、胸の奥が少しざわつく。
知らない誰かが、俺に何かを伝えに来るかのように。
胸の奥を叩かれてる気になる。
「ユウも興味があるのかい? 愛ってものに」
「……わからない」
ぼうっと眩しい金髪を見つめていると、振り返った博士と目が合った。
その目は優しくて、トゥイ支部長を見ている目と同じもの。
…ああ、それだ。
「わからない…けど……生きていける気がする」
「生きていける…?」
"あい"なんて知らない。
"あい"なんてわからない。
でも、もし俺もそんなものを持てたなら。
「こんな世界でも……生きていける、気がする」
俺もあんたみたいに、笑えるようになれるかな