My important place【D.Gray-man】
第25章 ノア メモリー
「でもラビとの任務なんて久しぶりだね」
「そうさなぁ。最後の任務は…あれか。ベルリンの」
「イノセンス回収で炭鉱跡地に行ったよね」
「あん時はユウも一緒だったさなー」
お互いに瓦礫の上に並んで腰を落ち着かせて、ラビが灯してくれた鉄槌の側で雑談を交える。
敢えて今の任務の話をしないのは、怖いから。
チャオジー早めの帰宅お願いします。
「あん時もイノセンスの怪奇現象に巻き込まれて、ユウが男らしく解決してくれたんだよな」
「あー…そうだった、そうだった」
もう使われていない炭鉱跡地で急に変な霧に覆われて、変な足音までし出すもんだから。
ビクつく私とラビに、一人平気な顔した神田が先頭切ってイノセンスを見つけてくれたっけ。
「使えねぇエクソシストは邪魔だって言われたさ」
「あはは、私も。こっ酷く怒られたよね」
あの時の神田とは、今みたいな関係は築けていなかったから。
いつものように呆れた顔して、私に「足手纏いになるな」って吐き捨てていた。
「今の状況もそれと同じじゃね? チャオジーが真っ先にガンガン進んでってさ」
「確かに」
それは私も薄々感じたこと。
恐怖心のないチャオジーを見ていたら、神田を思い出すから。
…だけど。
「でも…やっぱり、ちょっと違うかな」
あのゾンビ化事件が起きた時。咎落ちのあの子に体を操られていた時に聞こえた、神田の声。
半ば朧気だったけど、あの声を聞いただけでどこか安心する自分がいた。
そんな気持ちは、きっと神田にしか貰えないもの。
神田のいない今こんな場所にいるから、よりそれが明確にわかった。
「神田は神田で、チャオジーはチャオジーだよ」
いつものように神田と一緒に任務で此処にいたなら…きっとチャオジーといる以上に安心できていたと思う。
こうして隣に座っていてくれるのが神田だったら、優しく気遣ってくれなくたって、きっとほっとできる。
離れて気付く、その存在の大きさ。
…会いたいな。
最近は任務以外でも顔を合わせるようになったから、割と一緒にいることが多かった気がする。
だからなのか、わからないけど…こうして離れているんだなぁって実感すると、そんな気持ちが湧き上がった。