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My important place【D.Gray-man】

第25章 ノア メモリー



「一人で大丈夫?」

「っス! それより二人共、怖がりなんスから。そっちの方が心配っスよ」


 一人で用を足しに行く為に部屋を出ていくチャオジーを、心配して見送る。
 すると逆に笑顔で心配返しされ、思わずラビと押し黙った。
 面目ないです。


「ちゃんと二人でこの部屋にいて下さいね。さっきみたいに走り回ったら駄目っスからね、ラビさん」

「オレ、一応先輩なんだけど…」

「うん、ちゃんと捕まえておくから。チャオジーも早く戻ってきてね」

「オイ」


 ぶつくさと文句を言うラビの服を軽く掴んだまま、笑顔でチャオジーに手を振る。
 ジト目で見てくるその翡翠色の目も敢えて無視。
 仕方ないでしょ、チャオジーが言ってることは的を得てます。


「──さて。私達は調査の続きするよ」


 チャオジーを見送った後、再び水浸しの部屋に戻る。
 パシャリと水を踏むと、やっぱり小さな違和感。


「ねぇラビ」

「なんさ」

「この水、おかしくない?」

「そういやそれ、さっきも言ってなかったさ?」


 瓦礫の上に避難しながら、身を屈めて目の前の水の床を見る。


「なんかピリピリするというか…」

「ぴりぴり?」


 隣で同じように瓦礫に上がって、屈んだラビが覗いてくる。
 目の前の水に、そうっと指先で触れてみた。
 ピリ、とした微かな違和感。


「ほら、やっぱり」

「やっぱりって…オレ、なんにも感じねぇけど」


 同じように水に指を浸けたラビが、不思議そうに首を傾げる。
 ラビは感じてないの?
 でもこの感じは、気の所為って言葉で片付けられないんだけどな…。


「雪…あんま変なこと言うなさ…」


 そんな私に、ぶるりと体を震わせたラビが顔を青くする。
 あ、その反応やめて。


「怖いだろ」

「わざと言ってる訳じゃないから」

「じゃあなんなんさ、それ」

「それがわかったら苦労しな──」


 灯りに照らされたお互いの影が、ゆらりと揺れる。
 あ。


「うわっ」


 思わず持っていた灯りに目を向ければ、ゆらゆらと小さくなっていく炎。


「どうしよう火が…っ」

「このタイミングでかよっ」


 あたふたと慌てる私達に構うことなく、更にどんどんと小さくなった炎は、あっという間に。


「あ。」

「げ。」


 ふっと消えてしまった。

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