My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
ドキリとする。
そういう何か言葉を呑み込む姿は、神田にしか見せてないと思ってたから。
なんでそんなことをラビが言うのか、わからなかった。
「隠し事って…何、私尋問されてる気になるんだけど」
軽く笑って返してみる。
そうやって軽く返せば、ラビもいつも茶化して返してくれるから。
「…尋問じゃねぇけど…最近の雪ってさ。なーんか、気に掛かるんさ」
だけどいつものように、ラビは茶化してはくれなかった。
膝に頬杖ついて、じっとこっちを見てくる目は左目一つ。
そこから、目が逸らせない。
確かにラビには、ノアのことを聞いたりしたけど…それだけで額の傷が聖痕だって結論には繋がらないだろうし。
流石にラビでも、きっとそんな突拍子もない考えは浮かばないはず。
……多分。
「ノアのこととかも、そうさ。妙に気に掛けてる気がするし」
「…え…」
心臓が僅かに跳ねる。
じっと私を見てくる目は、一度も逸らされないまま。
冷や汗が、じっとりと握った手の内側に浮かんだ。
「雪…もしかしてさ、」
待って。
言わないで。
どんな顔をすればいいのか、まだ覚悟ができていない。
「アレンのこと、誰かに聞いた?」
……。
……………。
……………………アレン?
「……はい?」
予想外の名前が飛び出してきて、思わず反応が遅れた。
アレンって…なんでそこでアレン?
「…うんにゃ。やっぱなんでもない」
ぽかんとした私の表情に、それだけで悟ったのか。あっさりとラビの目は私から逸らされた。
アレンのことって…なんのこと?
気にはなったけど、ここで突っ込んで変にボロが出るのが怖くて、それ以上ラビに問いかけることはできなかった。
……私の知らないアレンのことを、何かラビは知ってるのかな…。