My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
今頃ゴズと、イノセンス回収し終えてるのかな。
また余計に民間人に喧嘩売ったりしなかったかな。
六幻で無駄にあちこち建物破壊したりとか。
任務成功率は高いけど、その分周りへの余計な被害も多い時あるからなぁ…。
そんなことを思い浮かべて、つい苦笑してしまう。
「……」
不意に視線を感じて隣に目をやれば、じっとこっちを見てくる翡翠色の目と重なった。
…何?
「…はぁあ~」
それも束の間。ガクリと頭を項垂れると、ラビは深い溜息をついた。
何その反応。
「急に人の顔見て溜息つかないでくれませんか」
「つきたくもなるさ…わかってるけどさー。そういう顔見たらさー」
そういう顔って何、失礼な。
「やっぱコムイの策略さな…」
「は? 何が?」
なんでそこでまた室長が出てくるの。
「でもまさか、あのユウ相手にって思わねぇじゃん」
「室長とか神田がなんなの。ちゃんとわかるように言って」
一人で口を尖らせて愚痴るラビに、訳がわからず思わず眉を寄せる。
…でもこういう時のラビって、中々真意を語らないんだよね。
「雪もいい顔するようになったなーって」
「…適当に応えてない?」
「ホントだって。女性は笑顔が一番さー」
「うっわ、絶対適当」
ほらやっぱり。
ヘラヘラと笑ったラビは、軽いことを口にする。
その一歩距離を置いた立ち位置は、私には居心地の良いものだけど。
「そんなことないさ。よーしよしよし」
「わ…っまたそれする…!」
わしわしと、あの夜中の書庫室で会った時のように頭を撫でられる。
だからそれやめて、頭ぐしゃぐしゃになるから!
「──あ」
あの時のように手首を掴んで止めようとすれば、それより早くラビの手が止まった。
何か思い出したように声を漏らして、同時にぱっと手を離す。
「悪ィ、頭平気さ?」
そして心配そうに伺ってくる。
その目は私の──…あ。
「ぁ…うん。大丈夫」
咄嗟に、額を隠すように前髪を撫で付ける。
恐らくラビが気遣ってくれたのは、この額の怪我のこと。
前回も頭痛がして頭を押さえていたら、心配してくれてたし。