• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第25章 Noah's memory



「此処にも人の痕跡らしいものはないね…」

「よく目撃されてた人影って、なんなんでしょう」

「大方、あの人形なんじゃね?」


 その後、辺りを探索してみたけどイノセンスらしい気配も怪奇現象的なものもなく。幾つ目かわからない部屋の中で、溜息をついた。


「あんな小さな人形が、人影に間違われるはずないでしょ」

「そうだとしても、変な声が聞こえたってのはあれが原因かもしんねぇさ」

「……確かに」


 人差し指を立てて言ってくるラビに、ふむと考える。
 あんな音声付き玩具なら、鼠か何かが触れた際にでもあの"声"を上げそうだし。
 それを変な声を聞いたと勘違いした人がいても、可笑しくない。


「でも声はそれで説明がつくにしても、人影なんて──…あ。」


 チカチカと、持っていた懐中電灯の明かりが途切れ出す。
 え、もう電池切れ?


「ちゃんとセットしたのに…」


 任務に出る際に、万全の態勢で道具も用意していく。
 小さな整備ミスが生死を分けたりもするから、そこを怠ったことはない。
 だからこんなに早く、切れるはずないんだけどな…。

 パシパシと懐中電灯を軽く叩いて、電源を入れ直す。
 それでもチカチカと途切れる光は止まることなく、


「あ。」


 ふっと、光は消えてしまった。


「……うわ」

「げ」

「うわー、真っ暗っスね」


 消えて気付く。
 明かりがないとまともに床も見えないくらい、真っ暗な部屋にいたことに。

 …というか、


「外も、もう真っ暗ですもんね」


 いつの間に陽は暮れていたのか。チャオジーの言葉に窓の外に目を向ければ、もう暗い空が覆っていた。

 …仕方ない。


「えーっと…」

「雪さん、何やってるんスか?」

「灯り作り」


 屈んで辺りを手探りに探る。
 なんとか見つけた棒状のそれは、どうやら鉄パイプらしい。
 その先端に荷物から止血用の布を取り出して巻き付ける。
 同じく取り出した小瓶のアルコールを染み込ませば、出来上がり。

 雑だけど、まぁ使えるかな。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp