My important place【D.Gray-man】
第24章 3/14Whiteday
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「ん、ぅ…」
寝息が乱れる。
もぞもぞと動く気配に目線を掌の先に向ける。
やがてゆっくりと開いた暗い色の目が、俺の眼下に映る。
そこにはもう、あの朧気な霞んだ気配はない。
ぱしぱしと目を瞬いて、すぐ枕元にいる俺に気付いたんだろう。暗い色の目は俺を見上げて、更にぱしぱしと瞬いた。
「…んん?」
ついでに、ごしごしと目元を擦る。
何度も何度も何度──っていつまで擦ってんだよ。
「月城」
「ぅえっ!?」
呼べばまな板で跳ねる鯉のように、びくりと凄まじく良い反応が返ってきた。
阿呆な叫び声と共に。
「な、な…ッぃ、痛い」
「阿呆なことやってんなよ」
口をぱくぱくと開閉させてたかと思うと、徐に自分の頬を抓る始末。
今度は夢だなんて勘違いはさせねぇからな。
「ぃ、いつから…此処に…?」
「任務が終わってからだ」
「任務って…今、夜中、だけど…っ?」
時計を見ながら吃る月城を余所に、額の熱に掌の感覚を集中させる。
ずっと触れたままで感覚は鈍っていたが、どうやら高熱は治まったようだった。
「吐き気は」
「え?」
「吐き気はねぇのかよ」
「ぁ、うん…」
「喉の痛みは」
「…あんまりない」
「頭痛とだるさ」
「…ないです」
それなら症状はほぼ落ち着いたな。
安堵の息をついて、額に乗せていた掌を離す。
「…ぁ」
その時になって自覚でもしたのか、額に月城が手を当てる。
絆創膏を確かめるかのように撫でて、困惑気味な顔で俺を見た。
なんだよ。