My important place【D.Gray-man】
第4章 溝(どぶ)に捨てたもの
今までそういう関心なんざ向けなかった奴が、初めてはっきりと言葉にして問い掛けてきた。
だからこそ、単なる興味本位で漏れた言葉じゃないことは聞かずともわかった。
取り繕う言葉はよく吐くが、大事なことを口にする時、あいつは簡単には口に出さない。
それを知っていたからだ。
「…ビビってんのかよ」
自分自身に悪態をつく。
あいつが向けてきた気持ちが、軽いものじゃなかったから。
それがわかったから拒否したのか。
《 ユウ 》
思い出す。
何年も昔のことなのに、その記憶は微塵も色褪せていない。
馬鹿みたいに正直で。
馬鹿みたいにお人好しで。
馬鹿みたいに他人ばかり気にかけて。
そんな真っ直ぐに向けられる気持ちなんて、今更。
アルマがくれた思いだけで、充分だ。