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My important place【D.Gray-man】

第22章 ティータイム後のあなたと



「俺は月城みたいにお前に構う気はねぇんだよ。他所を当たれ」

「ガァアッガアッ!」


 言っても聞かないそいつは、うるさく鳴き喚きながら再度俺の服を引く。
 あまりにうるさい所為か、周りの団員の奴らから向く視線に居心地の悪さを感じ始めた。


「チッ」


 ったく、面倒臭ぇな。


「モヤシの所に連れてく気なら他の奴にしろ」


 別に接点が多い訳でもない俺に、ティムキャンピーへの情なんてない。
 なのにそいつは即刻首を横に振ってみせた。
 正しくは、球体を真横に回転させてるだけだが。


「じゃあ何処だよ」


 ゴーレムに言葉を話す術なんてない。
 問い掛ければ案の定、そいつはジェスチャーのように体を動かすがさっぱり見当もつかない。
 そんな動きでお前の感情を読み取れるのはモヤシだけだろ。


「何かあるならモヤシを頼れ。俺は行く」

「ガァアッ!」


 早々と理解するのを諦めて背を向ければ、今度は阻止するように回り込んで球体を俺の胸に押し付けてくる。

 ったく、うぜぇな。
 わかんねぇもんはわかんねぇんだよ。


「そんなに構って欲しいなら、また月城んとこにでも行けばいいだろ」


 あいつなら多少はお前の心境も理解できてそうだったしな。
 何気なくそう月城の名前を出せば、今度は勢いよく縦に球体を振り始めた。
 …なんだよその頷きは。


「…じゃあ行けよさっさと」

「ガァッ」


 今度は球体を横に振る。


「訳わかんねぇ…」


 どうにもその行動の意味は理解できないが、どうやら月城に関することらしい。…恐らく。


「月城がどうし──って、おい!」


 再度問い掛けるも、それ以上は反応せず俺の頭上を回ったかと思うと一直線に何処かに飛んでいく。
 そのまま見過ごすこともできたが、月城に関与することとなるとどうにも無視はできなかった。
 最後に見たのも、一人と一匹で何処かに向かう姿だった。
 今その一人の姿がないってことは…月城に何かあったってことか?


「チッ」


 そう思考が着地してしまえば、後戻りはできない。
 結局無視はできずに、仕方なくティムを追うことにした。

 なんなんだよ一体。

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