My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に.
「遊びたいなら、俺にしろよ」
AKUMAの血の雨の中。鋭い視線を向けたまま、神田の口角が上がる。
それはここ最近知った珍しい笑顔じゃなく、唯一神田がよく見せる笑顔だった。
好戦的な、殺気を放ちながら見せるもの。
「全部まとめて相手してやる」
挑発的に投げかける神田に、AKUMA達の視線が一斉に向く。
「此処は僕と神田で足止めしますから。雪さんは、ミランダさん達にこのことを」
「わかった…っ」
地面に下ろしてくれるアレンに頷いて、急いで踵を返す。
ミランダさんは戦闘向きのエクソシストじゃないから、第一に守らないと。
「ありがとう、二人共気を付けて!」
「あッ! 待て女!」
「逃がさねェぞ!」
走り出す私に、追いかけてくるAKUMAの声。
「相手は俺だって言ってんだろ」
「女性ばかり狙うのは感心しませんね」
振り返って見えたのは、私とAKUMAの間で足止めするように立ち塞がってくれている黒と白の姿。
その姿は凄く頼もしかったけど。
「俺一人で充分だ、邪魔すんな」
「その言葉、そっくりそのままお返しします」
お互いにAKUMAに視線を向けたまま、静かに言い合う。
そんなどこまでも喧嘩腰な二人に、少しだけ不安になった。
お互いに実力があって、正反対に見えて似たところもある二人。
息が合えば絶対に強いコンビになると思うのに。勿体無い。
犬猿の仲って言葉は、きっとあの二人の為にあるんだと思う。