My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「…気にしてくれてるの?」
そっと問うも、返事がある訳ではない。
それでも体を擦り寄せ応えるかのような仕草を見せるニフラーに、ふと雪の口元は綻んだ。
「それだユキ! 珍しい魔法動物を連れちょるじゃあないか!」
その姿に大いに反応を示したのが、巨人のような体を持つハグリッドだった。
体格に見合い大きな声を張り上げるハグリッドに、びくりと雪の体も跳ねる。
見上げれば、きらきらと輝く粒らな瞳。
(うわ。)
ティムキャンピーを見つけた時と重なるハグリッドの反応に、雪は思わず後退った。
「め、珍しいの? この子」
「ニフラーと言ってな。金目のものに目がない──」
「あーそれはもう知ってんさ。てか身を以て経験したし」
若干疲れの見える表情でラビが挙手する。
その言葉通り、ニフラーが金目好きなことは身を以て経験済みである。
「そうか? しかしここまで毛並の美しいニフラーは、初めて見た」
「そうなの?」
「何処で見つけたんだ?」
「話せば長くなるんだけど…色々、あって」
掻い摘んで先程の出来事を話せば、ハグリッドだけでなくハーマイオニーやロンも興味を持って耳を傾けた。
「──成程、野生のニフラーか…しかし人に飼われていたかのような美しさを持っちょる」
「そんなに綺麗なんだ。私はよくわからなかったけど」
「ハグリッドの動物好きはお墨付きだからね。信じて損はないよ」
肩を竦めて笑うロンの姿に、一瞬双子のフレッドとジョージが重なる。
そういえば彼の姓は、双子と同じウィーズリーだった。
「野生に戻すのなら、オレが預かっ」
「キュキュ!」
姓のことに雪が触れようとすれば、ぬっと目の前に掛かる影がそれを阻んだ。
大きな手が近付く様に、危険性を感じたのだろう。
ニフラーはあっという間に雪の脇をすり抜け鞄へと飛び移ると、ポケットの中へと潜り込んでしまった。
「…嫌、みたい」
「…むぐ」
「まーそう凹むなよオッサン。そのニフラーが特別雪に懐いてるだけさ。ユウにだって牙向いてたもんなー」
「牙なんて向かれてねぇ。勝手にあいつが俺の飲みもんを飲んだだけだ」
「ハイハイ。ユウ"の"飲み物な」