• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第48章 フェイク・ラバー



冷えた怒りを醸し出す顔で、無言のまま体を蹂躙された。
今までに神田の欲が爆ぜ激しく抱かれたことはあっても、そこに恐怖を感じたことはない。
しかし初めて、感情の見えない予想のできない神田の行為に、あの時は恐怖したのだ。



(わからないから、怖かったのかな…)



それも双子の言った通りの結果なのだろうか。
きゅっと結んだ唇を噛み締めて、雪は眼下に広がる広大な土地の教団本部を見下ろした。

神田に抱かれた翌朝、そのことに触れる者は当然誰もいなかったし、神田も雪の体の薬の事情は誰にも話さなかったのだろう、誰にも何も聞かれなかった。
あの夜の出来事は幻覚だったのかとさえ思う程だ。
しかし教団に戻るまで一度も重ならなかった神田の視線に、交わす言葉も勿論なかった。

薬の効果は時間と共に薄れ、もうほとんど残っていない。
その所為か、乱暴に抱かれた膣内の奥が、微かに違和感を残している。
それが雪にあの夜のことは確かにあった現実なのだと、突き付けてくるのだ。



「………」



あの時、神田は何を思い触れてきたのだろうか。
彼の心が見えないから、わからない。

果たしてそこに、雪を想う心はあったのだろうか。



(…わからない)



不穏な影は、確実に忍び寄っていた。

















/ 2655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp