My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
「ぐッ」
「どうやら貴方の発言からして、自分の分が悪いことを知っているようだ。…AKUMAを招き入れて何をしていたんです?」
「教える義理は───」
「義理?何を仰るやら」
左手で掴んでいたリッチモンドの手首が、ミシリと唸る。
「ぅぐ…!」
「これは質問ではなく命令です。命が惜しくなくば黙秘も結構ですが」
「っ…私は市民だぞ…個人の独断で命を奪うとは、何たる無秩序な組織だッ」
「秩序ですか。ふふ」
くすりと口元に笑みを含んで、さも滑稽そうにトクサは笑った。
「私達が行っているのは戦争ですよ。そこに秩序などなんの意味を持つので?」
「一般市民を巻き込むとは…ッ」
「言ったでしょう、貴方は捕獲対象。その時点で保護対象外です」
癖のある男だが、並の人間であることには変わりないらしい。
リッチモンドを拘束したまま、更に笑みを含む。
数日前にジョージへの尋問を止めた雪は、幸運なことに今は此処にはいない。
「私達は偽善団体ではないのですよ。目的の為なら多少の犠牲が出ようとも、組織も目を瞑るでしょう」
強張るリッチモンドの顔に、ぽきりと指を鳴らしてトクサは笑顔で呼び掛けた。
「では尋問を始めましょうか」