My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
「───で、何してたんだティム。雪さんと一緒じゃなかったのか?」
「ガァッ」
「雪さんに頼まれた?何を?」
「ガゥガゥ」
「二人を連れて来て欲しいって…なんで僕達じゃなく彼らを?」
「…兄弟、わかるかあの言葉」
「いや、さっぱりだ。何語なんだい、あれ」
「私に聞かれても…あんなふうにティムとお話できるのは、創作者のクロス元帥と、いつも一緒にいるアレン君くらいのものだから」
一人と一匹。
交える言語は違えど流暢に意思疎通する様を、双子は感心気味に見守った。
「ガァガッ」
「はぁ…わかったよ」
「話は終わったかい?少年」
「それで、そのティムとやらはなんだって?」
「雪さんに、君達二人だけを呼んで来て欲しいと頼まれたそうです」
「フレッドとジョージだけを?私達は?」
会話を終えたアレンがティムキャンピーの意思を伝えれば、尤もな疑問をリナリーが投げ掛けた。
今回の任務は、双子も関わっているなどということはない。
なのに何故、雪は彼らだけを望んだのか。
首を横に振るかのように、丸いボディを左右に振るティムキャンピーに、益々疑問を抱く。
しかし顔を見合わせた双子は違ったようだ。
「ならばユキの命に従おうじゃあないか」
「僕らを案内してくれるかい?ティム」
「ガゥッ」
「それなら僕達も───」
「ガァアッ」
「えぇっ?なんで駄目なんだよティムっ」
「…何か理由がありそうね」
相棒であるアレンを拒否するティムキャンピーの姿など、皆無と言っていい程珍しい。
しかしそれだけの理由が存在するのだろう、口元に折り曲げた指を当てて考え込むリナリーの耳に、
『なんだその理由ってのは。吐け』
再び舞い込んだのは、ドスの利いた低い声。
何処からともなくではなく、ティムキャンピーから直接流れ出してきた。
どうやらティムキャンピーに無線を繋げた神田の耳にも、事の有様が伝わっていたらしい。