My important place【D.Gray-man】
第17章 憩.
──ダンッ!
「いった…!」
思いっきり投げ飛ばされた体は、あっという間に背中から床に落ちる。
「踏ん張りが足りねぇんだよ。足腰の筋肉をもっと付けろ」
投げ飛ばした張本人は涼しい顔して、手厳しいことばかり口にする。
「もう一本だ、来い」
それはもう大変スパルタでした。
「ちょっと待って、少し休憩…っ」
「これくらいで根を上げんじゃねぇよ。付き合いたいつったのはお前だろ」
「そうだけど…っ!」
朝食を済ませて修練場に向かえば、あっという間に神田相手に5本も組み手を取られた。
当たり前に全て神田の一本勝ちで、前に後ろに投げ飛ばされる始末。
さっきから強打した体の節々が痛いです…!
「躊躇なんかしてたら、すぐにやられるぞ」
「っ!」
簡単に間合いを詰めた神田の手が、強く私の襟首を掴む。
体格から体力から何から何まで、差があるから仕方ないけど。こんなに必死に抗ってるのに、相手している神田は息一つ乱れてない。
ずっと涼しい顔で私の相手をしてる。
それが少しだけ悔しかった。
「あ!」
なんとかその涼しい顔を崩したくて、咄嗟に出た言葉は。
「ティエドール元帥!」
口から出まかせ。
ティエドール元帥、すみません。
「!?」
神田の後方を見て声を上げれば、一瞬驚いたように黒目が見開いた。
よし今だ…!
「隙ありっ!」
「っ!? テメ…!」
ここぞとばかりに逆に体を押し付けて、足の軸を蹴り上げて払う。
ぐらりと傾く体に全体重をかけて畳み掛けると、そのまま神田の体は床に背中から倒れ込んだ。
「やった…! 私の勝ち! 勝ちだよね!?」
倒れ込んだ神田に乗り上げたまま、思わず歓喜のガッツポーズ。
あの神田から一本取れた…!
これって奇跡かも!
「テメェ、モヤシみたいなことしてんじゃねぇよ!」
「うわッ!」
途端、ガッと再び襟首を掴まれて強く下に引かれた。
何…っ!?