• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ



世の中は不明瞭な世界だと、つくづく思う。

誰にも期待せず、誰からも期待されないことを望んで生きていた時よりも。
誰かを求めて、誰かに求められたいと望む生き方の方がずっとずっと苦しいことも辛いことも多い。

なのに、そんな今の自分の方が生きているような気がするからだ。



「ぴぇええ!」

「退け腰になってんじゃねぇよ!後ろから殺られるぞ!」

「だだだってこんなにAKUMAがいんのに!ビビんなって方が無理だよあんちゃん!」

「泣き言言うならエクソシストなんてやめろ!」

「ぴぇえええ!」

「泣くな喧しい!」


「…相変わらず容赦ないなぁ…」



無数のAKUMAに取り囲まれた状態で、六幻を扱いながらティモシーに厳しい言葉を飛ばすユウ。
一体のAKUMAに取り憑いてイノセンス化したティモシーは、真白に発光する体を縮ませながら涙を堪えていた。

うん、怖いよねユウとの任務は。
慣れないうちは特に、下手したら命落とすんじゃないかと思うから。
偶にトラウマになるよね。

でもいくらティモシーがエクソシストとして任務に出られるようになったからって、AKUMA討伐は少し早かったんじゃ…。



「ほんま見ててハラハラするわぁ…あれ大丈夫なん?ノアのねーちゃん」

「その呼び方やめてって何度目かな、憑神に言うの」

「……三回?」

「違います五回目です」

「んなもん大して変わらへんやん。細かいこと気にするんやの、ノア姐やん」

「はい六回目!」



ユウ達から離れた廃墟の屋上で戦闘を見守っていれば、ティモシーの顔で不安そうに同じく見守る者が隣に一人。
ティモシーがAKUMAに憑いている間は、能力である憑神っていう自我イノセンスがティモシーの体に取り憑いて本体を守る役目を行っている。
守るって言ってもティモシーの本体じゃ、常人より運動神経の高い子供なだけ。
AKUMAと戦う術はないから、こうして私が作った結界の中に避難させていた。

ティモシーとの任務時は、こんなスタイルで戦闘するようになってもう何度目か。
その度に他に類を見ないこの自我イノセンスは、堂々と私をノア呼びしてくる。
いけしゃあしゃあと邪気のないティモシーの顔して。

タイプは違うけど、なんだかあの狐顔を思い出すなぁ。



『何高みの見物してるんですか』



あ、出た狐顔。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp