My important place【D.Gray-man】
第15章 12/31大晦日
触れたのは一秒にも満たない一瞬。
すぐさま顔を離す。
「…マヌケ面になってんぞ」
至極驚いた顔で見上げてくる顔は、マヌケ面のまま固まったままだ。
息してるか、お前。
「ッッ──…!?」
途端に、顔面が一気に赤く色付いた。
んだよ、その反応。
他人からの顔へのキスは、お前平気で受けてたろ。
俺がしたのもそれと然程変わらない。
角度的に野郎共には口付けたように見えたかもしれないが、俺が触れたのは、こいつの唇じゃなくその擦れ擦れ横。
…セーフだろ、ギリ。
「これでわかっただろ。俺の相手はこいつだ、邪魔すんな」
真っ赤な月城はとりあえず置いておくとして、本来の目的である勘違い野郎共に目を向ける。
見てわかっただろ、俺は男だ。相手は不要なんだよ。
するとそいつらは、月城以上にぽかんと阿呆面を下げたまま。
「え………レズビアン女子?」
「まぁ……それもありかも」
更に阿呆なことをほざきやがった。
…なんつったテメェら。
「っ! か、神…っだから締まってる…!」
思わずミシリと腕の力が増す。
月城が更に悲鳴を上げたが、構ってなんかいられなかった。
やっぱ駄目だ、こんな所。
こいつと年越しすんのは別にいいが、二度とこんな所来ねぇからな。
有名な年越し場だかなんだか知らねぇが、脳内花畑のお祭り勘違い野郎共の巣窟なだけだろ。
やっぱりうざいこと、この上ない。
A HAPPY NEW YEAR.