My important place【D.Gray-man】
第44章 水魚の詩(うた)
「教団の監視の下、雪くんに表向きは変わらずファインダーとして働いてもらう。アレンくんと同じ扱いだね。これもリスクはあるけれど、二つめよりは下回るんじゃないかな。…それが今僕が思いつける、最善の策だよ」
「……成程な」
雪の命と、団員達の命。
どちらもコムイにとっては尊ぶべき、見放せないもの。
そのどちらもを取るなら、確かにそれが最善かもしれないと神田も頷いた。
「なら───その監視役、俺にやらせてくれ」
唐突な提案だった。
唐突だが一切迷いのない神田の提案に、コムイが見せたのは難しい顔。
「…言ってる意味がわかってるのかい?神田くん」
真っ直ぐ貫くような神田の視線を逸らさず受けながら、コムイの目は厳しい色をしていた。
「監視役を担うことは、彼女を守る為だけには繋がらない。雪くんにもし不安因子を見つけた場合、君には然るべき判断をしてもらわなきゃならない」
それはアレンの監視役としてついているリンクと同じ。
年中張り付いて傍にいる所為か、最近は砕けた会話も増えて、二人は一見すれば良好な関係にも見える。
しかしアレンは監視される対象であり、リンクはそこに判定を下す人間。
決して対等ではないのだ。