My important place【D.Gray-man】
第44章 水魚の詩(うた)
俺の知らない所で俺の知らないもんを背負っていた雪。
"ノアの…あの双子のことを、教えてもらったの。二人の、過去のこと…。…哀しいって思った。その過去を知って…他人事には思えなかった"
双子のノア野郎と接触して、そいつらのノアメモリーを流し込まれたと雪は言った。
"理由なんてないけど───"
"何敵に同情してんだよ"
そして強制的にノア化した日の夜。
俺に詰め寄られた時、嘯いてなんかいない素直な顔で首を横に振ったんだ。
"同情じゃないよ"
そう、はっきりと。
もしその心が、雪を敵と見做す教団じゃなく同胞となるノアへと向いてしまっていたら。
さっきはっきり聞いたんだ、雪の口から。
俺と生きたいって、泣きながら本音を吐き出した。
わかってる。
こいつの心は、ちゃんと俺に向いている。
なのに心が焦る。
他人の心に"絶対"なんてない。
"ユ…ウ…っ"
"ごめん…アルマ…ッ"
"な、で…っ"
"ごめん…ごめん…ッ"
それを俺自身、嫌という程知っていたから。