My important place【D.Gray-man】
第44章 水魚の詩(うた)
「っは……雪、」
「ぁ…っ」
酒臭いとは言ってたが…嫌なもんじゃないのか。
抵抗を見せない雪を良いことに、狭い咥内を好きなだけ犯した。
唾液を含ませて、舌を吸い上げて、唇を食んで。
何度味わっても飽きない、柔らかくて温かい雪の味。
唇を伝い引く唾液の糸を舌で掬って、顎に零れた分も舐め取る。
鼻の抜けたような微かな声を上げて、雪の体が震えたのを肌で感じ取った。
むくりと、俺の中の"欲"が顔を擡げる。
このまま雪の全てを喰らい尽くしたくなる衝動に駆られる。
けど今はその時じゃない。
「──ッ」
犬歯の上に乗せた自分の舌を、ぐっと上下の歯で圧迫して押し潰す。
ぶつりと切れた舌の側面から、あっという間に咥内に広がる血の味。
「吐くなよ」
「え? んぅ…ッ」
飲み込まずに口の中に含んだまま、首の後ろに添えた手で雪の顔を真上へと向かせる。
そのまま上から被さって、唇を塞いだ。
「ん、ふ…っ?」
開いた唇の隙間に流し込むように、唾液と血を舌で絡めて押し流す。
舌に触れて感じる味で、血に気付いたんだろう。雪の吐息がトーンを上げて、同時に服を掴む手に強さが増したのがわかった。
それでも解放することなく、血の混ざる舌の愛撫を続けた。
大きく見開いた目が、至近距離で疑問を投げ掛けてくる。
それも無視して、一層深く唇を重ねた。
歯で嚙み切った俺自身の舌を潜り込ませて、直接血を流し込む。
顔は真上に向かせているから、どう足掻いたって重力で雪の方へしか体液は流れていかない。
「ン…っん…ッ」
抵抗させまいと愛撫を続ければ、小刻みに体を震わせながら雪の四肢から力が抜ける。
その細い体を支えたまま、震える同じに細い喉がこくんと嚥下の音を立てたのを微かに耳で捉えた。
こくり、こくりと雪の細い食道を通じて流れ込んでいく俺の血液。
水は飲めていたと言っていた雪の言葉に賭けてみたが、どうやら俺の体液も吐き出さずに飲み込めたらしい。