第43章 羊の詩(うた).

「ぁッあ…！　だめ、ぇ…っそれ…ッ」


　首を横に振り被ることも満足にできない。
　弱いところを指と舌で同時に責められて、仰け反る体に咄嗟に手はシーツを鷲掴んだ。

　あっという間に頭の中が真っ白になる。
　快感に頭が揺さぶられて、くらくらする。
　言葉よりも嬌声しか上がらず、与えられるピンポイントの刺激にただただ体は跳ねた。


「あ、ぁうッ…も…！」


　簡単にやってきた高みへの波に、声が大きく震える。
　見計らったようにユウの指先が膣壁を擦り上げながら、口に含んだ肉芽を強く吸って。一気に頭の中は快楽で弾けた。


「ぃ、く…いく…ッ！」


　自分でもなんで従順にそんな言葉口走っていたのか、よくわからない。
　ただ回らない思考で思ったことを喘ぎ出して、まな板の上の鯉のように跳ねた体は、硬いシーツの上に落ちた。

　一度目よりも大きな波。
　荒い吐息が零れ落ちる。


「ちゃんと言えたな」


　膣内から引き抜かれる指の感覚。
　口元を拭いながら寄せてくるユウの顔が、視界に映り込む。


「よくできました」

「はぁ…っ……ん…」


　まるでご褒美だと言わんばかりに、口付けられる。
　鼻を掠めたのは、いやらしい発情した体液の臭い。

　…これ、私の…？

　…そう気付くと恥ずかしさは増すのに、同時に不思議と高揚した。
　なんだかドキドキする。


「気持ちよかっただろ」

「……うん」


　唇が離れて、代わりに額が重なる。
　優しい声に問われて、気付けば素直に応えていた。

　イった後の私を気遣ってくれているのか、啄ばむようなキスを繰り返すばかりでそれ以上は体を責めてこない。
　そんなユウの腕の中は心地良かったけど…もっと心地良いものを、私は知ってる。


「…ユウ」

「？」

「服…」


　指先で摘んだユウの服の袖を、軽く引っ張って主張する。


「私も…ユウの体、ちゃんと見たい」


　直に触れ合う肌と肌。
　その心地良さに浸りたくて、来た時と同じ格好のままのユウの姿を見上げて、願いを乞うた。