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My important place【D.Gray-man】

第12章 黒の教団壊滅事件Ⅴ



「全部言えなんて言ってねぇだろ」


 恐る恐る伺っていると、不意に目の前の顔が上がった。
 見えたのは、よく神田が見せる表情。
 眉間に皺を寄せたものだ。


「平気じゃない時は言えつったんだ。お前、AKUMAの銃弾喰らっても笑ってただろ」


 笑う?
 …ああ、あの時。





『ごめ…ドジった…』





 いつもの癖で笑ってた。
 まぁ、苦し紛れなものだったけど…。


「…言っても、怒らない?」


 そんなことを神田に言われたのは初めてだったから、恐る恐る問いかける。


「殴ったりしない…?」


 その問いに神田の眉間の皺が更に増えた。
 うわ怖っ…殴る気ですかまた!


「……聞く耳くらいは、持ってやる」


 思わず頭への衝撃に身を構えれば、それは意外にもやってこなかった。
 というか今、なんて。


「……」

「…んだよ」

「……」

「マヌケ面してねぇで、なんとか言え」


 いや…あの…はい。

 思わずぽかんと固まってしまった私に、居心地悪そうに神田が視線を逸らす。
 空耳…じゃないよね?


「ぁ…あのっ」

「あ?」

「じゃあ、あのっ……ほっぺが割と痛いんです…けど…」


 本当に今のは幻聴じゃなかったのか。
 気付いたら勢いでそんなことを口走ってしまっていた。

 割と痛いのは本当なんだけどね。
 口の中、鉄の味がするから切れてる気がするし。
 本当、容赦ない時の神田は迷いがないと思う。


「多分……もしかしたら、痛くない…かも…」


 段々と尻すぼみしてしまったのは、私の言葉に神田の顔が険しさを増したから。
 や、やっぱり我儘過ぎたかな。

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