My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「…あいわかった」
雪の抱える大きな愛は揺ぎ無い。
簡単には外れぬ大きな枷だ。
例え体がノアに覚醒したとしても、心まで塗り替えるのは安易ではないやもしれん。
だからこそ雪の傍には、こういう男が必要かもしれぬの。
「ならば雪の他の記憶は映さぬようにする。それでよいか」
「ああ」
再び顔を向けてくるティキに手を翳す。
「主のその気持ちは汲もう。じゃがもし雪のことを知り得たいと思った時は、いつでも申し出よ。その時は快く協力するぞ」
「…どうも」
額の魔眼が淡く光を発する。
優しく声をかけてやれば、ティキは今日見た中で一番まともな笑みを浮かべた。
その顔に、にこりと笑って返す。
何、当たり前のことだ。
雪も御主も、ワタシには大事な家族じゃからの。
「のう、ティキ。やはりまた一度雪に会ってみんか?」
「は?」
「主に会えば月見とまでは行かぬとも、雪も気を紛らせてくれるやもしれん」
「…月見?」
「なるべくなら哀しい顔はさせたくないからのう。どうだ、ティ」
「なぁそれ今話すこと? 見せるならさっさと記憶見せろよ」
(ここまできて出し惜しみとか訳わかんねぇ。サドか)
(のの…デザイアスには負けるがの)
(………ありゃ別格だ)